こんにちは。権丈ゼミ7期生の森高智広です。ここでは、わたくしなりに権丈ゼミの紹介をしたいと思います。 |
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Menu 1.経済学ってなんだろう? 2.「合理的」な世界を超えてみる 3.こんな人がいいです 4.で、おまえ、誰? |
1.経済学ってなんだろう? | |
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権丈ゼミは、経済学のゼミです。入ゼミ課題にも経済学のテストがありますね。 ゼミに入っても、まずは引き続きミクロ経済学を学ぶことになります。 みなさんは、経済学に対してどういうイメージを持っているでしょうか。数式やらグラフやらですっかり嫌悪感を持っている人もいるかもしれません。IS-LM曲線の動きや、産業連関表のみかたを教えられたところで、わたくしたちの現実の生活には関係ないですものね。(もちろん、これらも大事なんですけどね。) 「経済はわたしたちの生活に密接にかかわっているんですよ」と聞かされても、べつに経済学を知らなくても将来立派な大人になれそうです。 現実に、そういう人も数多くいらっしゃいます。 では、なぜ経済学を学ぶのでしょうか。権丈ゼミが経済学を学ぶ目的は、物事を論理的・抽象的に考え、問題の本質を見抜く訓練をすることにあります。 先生はよく、「百の説明より、一つのモデルほうが大事。」とおっしゃいます。 モデルを使って考えることで、さまざまなことに応用が利き、説明できるようになるのです。 …というふうにわたくしたちは2年生のみなさんに対してよく説明するのですが、個人的にはこの説明でみなさんのなかにイメージが浮かぶのか、少し不安ではあります。というのも、1年前のわたくしがあまりピンとこなかったからです(笑)。 いまは、そういうものかと思ってくれるだけで結構かもしれませんが、先生のこの言葉が、理解の助けになってくれるかもしれません。 ちなみにこの言葉は、夏合宿のさなか、どうやって経済学で問題をとらえたらいいんだ?と四苦八苦しているときに、先生からいただいた言葉です。 「いいかい、経済学っていうのは、人間の「行動科学」なんだ。」 経済学では、合理的経済人というものを前提に考えます。合理的経済人というのは、みずからの効用を最大化しようとする人のことです。自分がいちばん利益を得るように考え、行動します。 先生の言葉に戻りましょう。「行動科学としての経済学」をわたくしなりに説明すると、合理的経済人がある状態におかれたときに、こういった行動をとるだろうと科学的(論理的)に分析し、体系化したものだということです。先生はよく、「世の中のたいていのことは経済学で説明できる」とおっしゃっていますが、その言葉の真意はこういうところにあると考えられます。 世の中のほとんどの人たちは、自分のことしか考えていないので、さまざまな場面でかれらがとる行動は、経済学を使えばある程度予測できてしまうのです。 「ある程度」と書きましたが、その威力はおそらくみなさんの想像を超えているのではないか、と思っています。 たとえば、先生が政治について考えるとき、「絶望的人間モデル」を思考の基礎においてらっしゃいます。この「絶望的人間」は、かなりの部分で合理的経済人と重なるところがあります。 そしてこの絶望的人間たちの茶番劇として政治をとらえ、経済学をつかって分析してみると、「残念なことに」、実際の政治とかなり符合してしまうのです。 |
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関連リンク | 権丈ゼミ履修要綱 のなかの ミクロ経済学 マクロ経済学 入ゼミ希望者への要望と審査方法 テストのことその他について書いてあります。 ここで紹介したような先生の考えがわかるものとしては、先生がお書きになった 勿凝学問36「どの世界にもいるはずの気概のある異端たちへ―自民・民主勉強会での説明の正確さを期するためのメモ―」 のなかの、「まずは自己紹介」の部分が参考になるかと思います。 |
2.「合理的」な世界を超えてみる | |
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で、この合理的経済人というやつは、けっこう「いやなやつ」です。まず、こいつは平気で人を裏切ります。自分の利益を守るためには、他人をだまくらかすこともあります(逆に協力することもありますが)
。 とにかく、自分のことしか考えていないのが最大の特徴です。…と、ここまで書けば、みなさんにも合理的経済人っていうのはなんか「いやなやつ」だなと思っていただけたかな、と思います(思ってね(笑))。 実はこのように、「人を裏切るのはちょっとなあ」とか、「あたしはこんなずるい真似はしたくない」と素朴に思ってみることが重要なのです。合理的経済人の思考過程や行動に対して、もっとひろくいえば世の中のさまざまな現象に対して、否定的な感情を持つということは、みなさんのなかにそれらに対抗する価値観が備わっているということです。言い換えれば、みなさんのなかに「答え」があるからこそ、反発するわけですね。 (やや脱線) なお、経済学というのは、そのような価値観や倫理観をいっさい排除したところからスタートしています。そのうえで、人間は利益を最大化するためにはどのように考え、行動するのかということを、論理的に考えたのが経済学です。 おそらくはここに、経済学がほかの学問とくらべて優れているところがあるのでしょう。なぜならば、論理は万国共通のものであるからです。それに対して、価値観や倫理観は国や文化、時代によって変化しうるものですし、親兄弟や友達・恋人どうしでも異なります。さらにいえば、同じ人でも年をとれば変化しますね。 わたくしがさっき「いやなやつ」とカッコつきにしたのも、それがいやと思った時点でわたくしなりの価値観や倫理観がはからずものぞいているわけです。ほかの人も同じ価値観を持っているという保障はないのです。 (脱線おわり) …ともかく、自分のなかにある価値観や倫理観を大事にしていただきたいのです。それが、みなさんのなかで感情のフィルターを通して「答え」となります。みなさんの「答え」と現実とのギャップに対する不満は、これからおこなう知的活動へのエネルギーになるのです。 そして、その「答え」のもとになる価値観や倫理観を磨く活動は、 権丈ゼミにおいて経済学の学習と同じくらい、いや、ひょっとしたらそれ以上に重視されています。 前置きが長くなりました。その活動が、他のゼミでは到底考えられない、読書、映画、旅といったものです。具体的な活動内容については、それぞれのページを参照してください。活動の目的はいろいろありますが、結局はゼミのテーマである「人間と社会を学ぶ」ということばに行きつきます。いずれの活動も、「自分と異なる人間・社会を知る」ことです。この場合の「異なる」とは、いろいろな意味を含みます。国、人種、時代、性別、社会的・経済的地位、立場、などです。それらが違えば、こんなにも考え方が違うのか、と思えるときがきっとやってきます。旅なんかをしていると、価値観を磨くどころか、ひっくり返ってしまうかもしれません。そして、彼らがもし目の前にいたら、どんなことをしてあげられるだろうかと考えてしまう習慣が知らず知らずのうちに備わってしまうのが、これらの活動のいいところです。 |
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関連リンク | 読書のすすめ 歴史センス養成所 歴史を動かした人・思想・理論 名画を見よう 旅のすすめ |
3.こんな人がいいです | |
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みなさんは、どのような基準でゼミ選びをしているでしょうか。「エグい・エグくない」という基準でしょうか。こういう人はうちのゼミは向かないでしょう。 理由は2つあります。ひとつは、世間一般(慶應一般?) での「エグい・エグくない」という基準だと、はっきり言ってうちのゼミはまちがいなく評判どおりに「エグい」からです。さてまたカッコつきにしてしまいました。これも言ってみれば価値観の一種に他ならないからです。 もうひとつは以下のとおりです。「エグい・エグくない」という基準でゼミを選んでいる人は、2通りいると考えられます。何にも考えていない人か、自我を強く持っている人です。まあ、何にも考えていない人はそもそもここを見ていないでしょうから(笑)、割愛させていただきます。自我を強く持っている人というのは、エゴが強い人といえるでしょうか。 つまりは、「ゼミはゼミ、ぼくはぼく」といったように、自分とゼミの間に一線を引いてしまうような人です。もちろん客観的に眺めてみることも重要でしょうが、どんどん積極的にゼミにかかわってくることが求められます。自分の殻に閉じこもってしまうのはNGなのです。 そろそろ本題に入りましょう。わたくしがこのゼミに向いていると思う(そして、来てほしい)人は、 自分にも他人にも積極的である人、またはそうなりたいと望んでいる人 です。今の状態は関係ありません。自分のことも他人のことも本気で考え、大切にし、積極的に行動をとれる人、またはそうなりたいと望んでいる人ならば、大歓迎です。先輩たちは、みなそういう人たちです。今はどうも自分の殻に閉じこもりがちな人でも大丈夫です。先輩たちが破ってくれます(笑)。積極的な気持ちさえもっていてくれれば、わたくしたちが全力でサポートします。 この「関与しようとするエネルギー」「サポートしようとするエネルギー」こそ、わが権丈ゼミの最大の強みなのです。 ただやはり、他人のことを考える習慣というのは、どうも強制されても身につかないようです。どうかあなたがそういう人であることを望みます。これは、先生がゼミ紹介のなかで使ってらっしゃる「義憤」ということばにもつながってくるのです。 |
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関連リンク | 先生によるゼミ紹介文 第5バージョン (「義憤」ということばがでてきます) |
4.で、おまえ、誰? |
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では、いままでえらそうに書き立てていたおまえは誰だ?ということで、簡単にわたくしがゼミに入るまでのいきさつを書こうと思います。 わたくしは、一浪を経て2003年に商学部に入学しました。一部の(?) ゼミ員と同じく、授業にはほとんど出ませんでした。ノートを恵んでくれた篤志家たちのおかげでここまできましたが、お世辞にも成績はよくありません。数える気もおきませんが、Aなんて両手で足りるかも。 そんなわたくしと先生との出会いは、産経論の授業でした。 ふだんはどう考えても授業に出ないというか、そもそも学校に来ない日なのに、その日は所属しているバスケサークルの試合の日か何かで、ひまつぶしに聞いてみた、というのが実際のところです(先生、すいません…)。そこで話を聞いてみて、なんか面白い先生がいるなあと思ったのが最初でした。それからホームページを見るようになりました。 やがてオープンゼミに行きました。とにかく印象的だったのが、先生のお話の説得力です。それから、この先生のもとで学びたいとはっきりと思うようになりました。そして、ゼミのイメージも変わりました。 「エグい」課題に耐えている人たちかと思っていたら、じつはそういうことを積極的にこなすエネルギッシュな集団だったのです。 これは面白そうだなと思いました。 権丈ゼミを志望すると宣言したとき、予想通りまわりの人たちにひかれました。わたくしの場合は、もう入ろうと決めてしまっていたので動じませんでした。 実際に入ってみて、あらためて今振り返ると、三田ではゼミの思い出しかないことに気づきました。ほんとうに三田ではゼミが中心になります。 なにが変わったというと、繰り返しになりますが、ほんとうに他人や自分のことを考えるようになりました。 それは、このゼミで得たかけがえのない財産です。それをみなさんにもぜひ経験していただきたくて、今回この文を書くことになりました。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 みなさんとお会いできる日を楽しみにしています。 |
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